失敗事例① とりあえず兄弟共有にした
相続直後は特に問題がないように見えたため、親の家を兄弟共有にしたケースです。
ところが数年後、売却したい人、家として残したい人、賃貸として活用したい人で意見が分かれてしまいました。
その結果、売却もできず、建替えもできず、賃貸活用も進まず、さらに修繕費の負担をめぐって揉めてしまうという状態になることがあります。
不動産は、預金のように簡単に分けることができません。
そのため、「とりあえず共有にしておけばよい」という考え方は、慎重に判断する必要があります。
兄弟姉妹の関係が現在は良好であっても、将来の売却、修繕、管理、固定資産税の負担などをめぐって意見が分かれる可能性があります。親の家を誰が取得するのか、売却するのか、誰かが住むのか、賃貸活用するのかについては、できるだけ早い段階で方向性を整理しておくことが大切です。
失敗事例② 生前贈与を急ぎすぎた
インターネットで「生前贈与は得らしい」という情報を見て、十分な試算をしないまま不動産を子ども名義へ変更したケースです。
しかし実際には、贈与税、不動産取得税、登録免許税、将来の譲渡所得税などが発生し、結果として相続まで待った方が有利だったというケースもあります。
生前贈与は、目的や使い方によっては有効な方法です。
しかし、税額シミュレーションを行わずに進めることはおすすめできません。
特に不動産は金額が大きいため、贈与税だけでなく、名義変更に伴う諸費用や将来売却時の税金まで含めて確認する必要があります。
失敗事例③ 親が認知症になった
近年、非常に増えているのが、親の判断能力が低下してから不動産の処分や活用を検討するケースです。
親の判断能力が低下すると、不動産の売却、贈与、賃貸契約、建替え、大規模修繕などが難しくなる場合があります。
その結果、「売却したいのに売れない」「実家を処分したいのに処分できない」という状態になることがあります。
このような事態を避けるためには、親が元気なうちに、遺言、家族信託、任意後見などを事前に検討しておくことが重要です。
なお、これらの対策は税務だけで完結する話ではありません。司法書士や弁護士などの専門領域とも密接に関係します。
そのため、税理士だけで判断するのではなく、必要に応じて専門家同士が連携しながら進めることが大切です。
失敗事例④ 相続税はかからないのに空き家になった
相続税がかからなかったため、「特に対策は不要だろう」と考えていたケースです。
しかし、実際には誰も住まなくなり、管理する人も決まらず、雑草や老朽化が進み、近隣から苦情が来て、固定資産税だけが毎年発生するという問題が起きることがあります。
相続税がかからないことと、相続対策が不要であることは別問題です。
実家が空き家になる可能性がある場合には、相続税対策だけでなく、相続後の管理、売却、活用方法まで考えておくことが重要です。
特に、親の家が遠方にある場合や、相続人がすでに別の場所に自宅を持っている場合には、相続後に誰が管理するのかを早めに確認しておく必要があります。